環境会議所東北

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第17回環境甲子園授賞式を開催しました!!

第17回環境甲子園授賞式

1/28(日)環境会議所東北が開催する、高校生の環境への取り組みのコンテスト、環境甲子園の第17回目の授賞式がせんだいメディアテークにて開催されました。今年度の授賞式は、捨てられるはずのゴミをアートとして再利用する資源×アートのイベント「せんだい資源ナーレ」のプログラムの1つとして開催されたこともあり、関係者だけでなく、大勢の一般の方々にもご来場頂きました。 環境甲子園は2001年にスタートした東北6県の高校生を対象とした環境に関わる活動を表彰するコンテストで、今年で17回目となります。作品はエネルギー問題やゴミ問題、地球温暖化、自然保護など、環境に関わる活動であれば幅広く募集しており、これまでも多くの学校に様々なテーマでご応募頂きました。 今年の甲子園の特徴は、多くの学校に参加して頂いたことです。応募作品は13校16作品と、例年に比べて増加しており、また普通科高校、農業高校、高等専門学校など様々な学校に参加頂きました。加えて、青森、岩手、宮城、山形、福島と東北6県すべての県から応募があり、地域的にも幅広いコンテストとなりました。 授賞式では、賞状の贈呈に加え、受賞校各校から自分たちの活動について発表して頂きました。
高校名  青森県立名久井農業高等学校
チーム  環境班 5名
 作品名  電農二毛作への挑戦 
 メガソーラー発電所における作物栽培の研究
作品  PDF



名久井農業高等学校環境班は農業高校ならではの視点からメガソーラーの課題を整理し、メガソーラーと農業の共存に向けて取り組んでいます。 メガソーラー発電所は農地が転用された遊休地で建てられることが多く、食料自給率が低く、農家が減少している日本では課題だといえます。 環境班は地域によるメガソーラーの特徴の違いを整理し、青森県では気候の関係からパネルとパネルの距離が広く、発電所の面積の多くが未利用地としてなっていることに注目しました。また、この未利用地を農地として利用するために、①発電をじゃましない、②作業負担が少ない、③需要が安定して高い、この3つの観点からカボチャ「ほっとけ栗たん」を栽培品種として選んでいます。また、実際に、このカボチャの栽培を行い、収量・作業時間などのデータを収集し、十分な収益を見込むことができることを明らかにしています。 環境班はメガソーラーと農業が共存する新たなビジネスを通して、農業・農村の活性化を目指しています。


○優秀賞
高校名  岩手県立遠野緑峰高等学校
チーム  草花研究班 9名
 作品名  ホップ和紙開発プロジェクト 
 ~ホップ蔓の新たな可能性にかける~
作品  PDF


岩手県遠野市はホップの一大産地ですが、少子高齢化による担い手不足によりホップ農家は衰退の一途を辿っていました。遠野緑峰高校は長年この課題に対して取り組んでおり、遠野の新たな産業として、それまで廃棄されていたホップ蔓を利用した和紙を開発してきました。一方、従来のホップ和紙は漂白に化学薬品を大量に使用していたため、和紙をつくることが環境破壊につながることが指摘されていました。  遠野緑峰高等学校草花班はこの課題を解決するために、低コスト・高品質の環境に優しいホップ和紙の開発に取り組みました。無漂白、そして白い和紙の開発を目指し、農家関連団体や和紙職人といった様々な人と連携・協力し、様々な方法を試した結果、完全無漂白和紙の開発に成功しています。  同時に草花班はこのホップ和紙の利用についても取り組んでおり、ホップ和紙から作られたランプシェードや証書が市の返礼品に採用されたり、地元小学校の卒業証書として利用されたりしています。また和紙の紙すき体験やコースターづくりは観光客や企業の社員研修としてニーズがありなど、ホップ和紙は地域資源として地域の活性化に貢献しています。  草花班は今後ホップ和紙の低コスト・大量生産を目指し、この地域資源が産業振興により貢献することを目指しています。 こちらの活動は、2018年2月3日~4日に開催されました「第3回全国ユース環境活動発表大会」で「環境大臣賞」を受賞しました。おめでとうございます。


○特別奨励賞
高校名  青森県立名久井農業高等学校
チーム  TEAM FLORA PHOTONICS 10名
 作品名  3つの生物による水質浄化システム 新型バイオエンジンの開発
作品  PDF



世界各地で、生活排水・工場排水の流入により窒素・リン酸が増加することで、湖沼の富栄養化が起こっています。日本においても都市公園などでこの富栄養化が問題となっており、解決策の1つの大型装置による浄化では、大量のエネルギー、コストがかかってしまいます。  TEAM FLORA PHOTONICSは2015年にこの問題の解決のため、草花と微生物の力をかり自然の力による浄化システム「バイオエンジン」を開発し、窒素の浄化に成功しています。今回それをさらに発展させ、リン酸も同時に浄化する新型のバイオエンジンの開発に取り組みました。活動には、リン酸浄化の向上と美的空間の創出という2つの目標がたてられました。  現在、既に実証実験が成功しており、多くの自治体や都市公園で導入されています。このバイオエンジンは単に化石燃料を使わない水質浄化システムというだけでなく、水上にプランターを浮か花が生育することで水質が浄化させるため、美的景観の形成にも役立っています。TEAM FLORA PHOTONICSは今後、この新たなバイオエンジンが国内だけでなく、アジアにも広めることを目標にしています。


○特別奨励賞
高校名  宮城県農業高等学校
チーム  科学部復興プロジェクトチーム 10名
 作品名  笑顔でつなぐ 被災地復興
 ~自然環境修復を目指したサクラ育成法Ⅲの開発と普及~
作品  PDF



宮城県農業高等学校科学部復興プロジェクトチームは被災地でのサクラの育成に取り組みました。被災時、震災で生き延びたサクラに勇気づけられた経験から、被災者を元気づけられるよう、地域の自然が回復させることを目標にサクラの育成をスタートさせています。  しかし、取り組み当初の育成法では塩害や偏った生態系というような課題があり、新たな育成法を模索することになりました。そこで参考にしたのは中国の野生バラ「ツーリー」の栽培事例でした。その事例では、昆虫を利用した新しい土壌生態系が生まれ、土壌、バラの修復、成長につながったそうです。  この事例を参考に、食物連鎖を活かした土壌生態系、サクラの育成に取りかかりましたが、新たにサクラならではの問題として、土壌の栄養源である落ち葉が風により飛ばされてしまうことが起こりました。対策として、カワラナデシコをサクラの円状に植えるという方法が考えられました。結果、サクラの成長と共に土壌生態系が確立されました。また、この育成法は「メッチャいい法Ⅲ」と名付けられました。  この方法で地域ではサクラの植樹イベントが開催され、ボランティアとして多くの方が集まり、希望のサクラとして育っています。今後さらに、この育成法を通して土壌回復・緑化を進めるとともに、サクラを活かした産業化にも取り組むそうです。


○奨励賞
高校名  宮城県志津川高等学校
チーム  自然科学部 Bチーム  3名
 作品名  八幡川河口に復活した干潟の生物調査
作品  PDF



宮城県志津川高等学校自然科学部Bチームは干潟の生き物調査に取り組んでいます。八幡川河口は、50年前はもともと干潟でしたが、チリ地震後は防潮堤が築かれ、干潟は消失していました。しかし、東日本大震災により防潮堤が破壊され、再び干潟が形成されました。再度防潮堤が建設される予定でしたが、住民の運動により干潟が守られ現在にいたるそうです。  自然科学部Bチームはそのような干潟には様々な生き物が生息していると推測し、調査を行いました。調査では干潟に様々な生き物が生息していることがわかり、それらの生き物の力により水質の浄化が行われていることが分かりました。また、中には絶滅危惧種としてレッドリストに登録されている種も発見され、干潟が貴重な生態系を築いていることも明らかになっています。  今後、継続した調査により、干潟の生態系の変化を見ていくとともに、干潟の重要性を地域の人たちに伝えていくことを目指しています。  


○奨励賞
高校名  仙台高等専門学校
チーム  仙台高専Aチーム 4名
 作品名  外来種が救世主!?~アレロパシーの可能性~
作品  PDF



日本には多くの外来種が生息しており、中には日本の在来種に影響を与えている種も存在します。セイタカアワダチソウもその1つで、アレロパシーという他の植物の生長を抑制する土壌を作るという特性を持ち、日本の在来植物の生息に影響を与えています。仙台高専Aチームはこのアレロパシーに注目して、研究に取り組みました。  研究では、セイタカアワダチソウの根からアレロパシー成分を抽出し、カイワレダイコンの発芽実験を通して、その成分の効果を確認しています。  仙台高専Aチームの取り組みでは、外来種であるセイタカアワダチソウから雑草などの成長を抑制する自然由来の農薬を作ることのできる可能性が示唆されました。  


○奨励賞
高校名  宮城県多賀城高等学校
チーム  科学部 11名
 作品名  多賀城高校の松枯れの原因を探る
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宮城県多賀城高等学校科学部は、近年校内で起こっているアカマツの立ち枯れの原因を探り、その予防と拡大阻止のための研究に取り組んでいます。この松枯れは校内だけでなく、日本三景の1つである松島などでも起こっており、地域共通の問題となっているそうです。  調査では、アカマツの状態を調べるための健康調査と、松枯れを発生させるセンチュウの検出・観察を行っています。この調査を通して、松枯れがセンチュウによって引き起こされ、また枯死体から健康体に松枯れが伝染していっていることが分かり、病気になったマツを早急に切断することで拡大を防ぐことにつながるとしています。  一方、センチュウが検出されない枯死体が存在しているなどセンチュウとは異なる原因の松枯れが発生していることも考えられ、継続した調査によりその原因を探り、将来的な近隣地域や松島の景観の保全への貢献を目指しています。

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